ロサンゼルスを拠点とするMax Hazan率いるHazan Motorworksが、1978年式Ducati 860GTをベースにターボチャージャーを搭載した異色のカスタムバイクを完成させました。製作途中でクライアントからの思いがけない提案により方向性が一変し、キックスタート専用車体という制約の中でブロースルー方式のターボシステムを実現しています。
詳細情報:1978年式Ducati 860GTという素体
Ducati 860GTは1970年代に生産されたクラシックモデルで、空冷ベベルギア駆動のVツインエンジンを搭載する旧車です。今回ベースとなった個体はセルスターターを持たず、キックスタートのみで始動する仕様でした。Max Hazanによれば、製作の初期段階でクライアントから「このバイクをターボ化したらどうなると思うか」という問いかけを受け、即座に「やりましょう」と即答したといいます。しかし、キック専用車にターボを組み込む作業は決して単純ではありませんでした。一般的なターボシステムは電動スターターによる始動補助やエンジン回転の安定性を前提に設計されることが多く、キックスタート車両での実装には独自の工夫が求められます。Maxはこの課題に対し、ブロースルー方式(キャブレターの手前から過給する方式)を採用することで、既存のキャブレターセッティングを活かしながら過給効率を確保する手法を選びました。
カスタムの見どころ・意義:信頼性と公道走行性の両立
今回のビルドで最も注目すべき点は、単なる見た目の改造にとどまらず、実際に公道を走れる信頼性の高いターボ車両を目指した設計思想です。Max Hazanは「信頼性があり、なおかつ公道で乗れるバイクに仕上げるには相応の労力が必要だと分かっていた」と語っており、その言葉通り細部にまで配慮が行き届いた仕上がりとなっています。旧車のベベルギアエンジンにターボを組み合わせるという発想自体が珍しく、過給による出力向上とクラシックなエンジン構造との両立は高い技術力を要します。また、キックスタートのみという制約下でブロースルー方式を選んだ判断は、既存のエンジン制御系への影響を最小限に抑えつつ過給を実現する合理的なアプローチといえます。Hazan Motorworksらしい緻密なファブリケーション技術が随所に見られ、フレームワークやエキゾーストレイアウトにも独自の美意識が反映されています。
まとめ
Max Hazanによる1978年式Ducati 860GT Turboは、キックスタート専用という旧車ならではの制約を逆手に取り、ブロースルー方式のターボシステムで信頼性と走行性能を両立させた意欲作です。クライアントとの対話から生まれたアイデアを形にする柔軟性と、確かな技術力に裏打ちされたファブリケーションが光る一台であり、旧車カスタムの可能性を広げる事例として注目されます。