Bike EXIFの読者にとってRichard Pollockの名は馴染み深いものでしょう。30年以上にわたりMule Motorcyclesを率いる彼は、オフロードマシンをベースにしたストリートトラッカーの第一人者として知られています。今回紹介するのは、Honda CRF450をベースに製作された「Featherweight Rocket(羽根のように軽いロケット)」と呼ばれる一台です。
Mule Motorcyclesとストリートトラッカーへの情熱
Richard Pollockは長年にわたり、モトクロッサーやエンデューロマシンをストリート仕様に仕立て上げることに情熱を注いできました。彼の哲学は明確です。それは「軽量であること」「シンプルであること」「本質を追求すること」。今回のベース車両であるHonda CRF450は、もともと競技用のオフロードマシンとして設計されており、その軽量なシャシーと強力なエンジンは、ストリートトラッカーへのコンバージョンに理想的な素材と言えます。 Pollockはこの車両に対して、公道走行を可能にするための最小限の装備を施しつつ、本来の性能を損なわないように細心の注意を払いました。ヘッドライト、テールライト、ウインカーといった保安部品は、可能な限り軽量でコンパクトなものを選択。さらに、スピードメーターなどの計器類もミニマルなデザインのものを採用しています。
カスタムの見どころと独自性
このCRF450ストリートトラッカーの最大の魅力は、その徹底した軽量化へのこだわりです。Mule Motorcyclesは不要な部品を一切排除し、公道走行に必要な最低限の装備のみを追加することで、オリジナルのオフロードマシンが持つ俊敏性を最大限に保持しています。 フラットトラックスタイルのハンドルバー、スリムなシートカウル、そしてシンプルなエキゾーストシステムは、機能美を体現しています。タイヤはストリート向けのものに交換されていますが、ホイールサイズやサスペンションのストローク量は、ダートトラックのDNAを色濃く残しています。 また、注目すべきはそのカラーリングです。控えめなアースカラーを基調としたペイントスキームは、派手さを排除し、メカニズムそのものの美しさを際立たせています。これはPollockが一貫して追求してきた「機能が形を決定する」という思想の表れと言えるでしょう。 エンジンは450ccの単気筒で、圧倒的なパワーウェイトレシオを誇ります。軽量な車体と相まって、このマシンは文字通り「ロケット」のような加速性能を発揮します。
まとめ
Mule MotorcyclesによるHonda CRF450ストリートトラッカーは、Richard Pollockの30年以上にわたる経験と哲学が凝縮された一台です。軽量性、シンプルさ、そして本質的な走りの楽しさを追求したこのカスタムは、現代のオーバースペック化したバイクシーンに対する一つの回答と言えるでしょう。公道走行可能でありながら、レーシングマシンの純粋さを失わないこのマシンは、真のライディングプレジャーを求めるライダーにとって理想的な存在です。Pollockの手によって生み出されたこの「羽根のように軽いロケット」は、ストリートトラッカーというジャンルの可能性を改めて示してくれます。