イギリスのカスタムビルダーJames Roper-Caldbeckが手掛けたJamesvilleブランドは、2009年のBike EXIF黎明期から注目を集めてきました。派手なチョッパーが主流だった当時の西洋カスタムシーンにおいて、彼の作品は新鮮な空気を吹き込む存在でした。その後Jamesvilleは2012年にブランドを閉じましたが、最後に手掛けたこのHarley-Davidson WLA Bobberは、彼のクラフトマンシップの集大成として今も語り継がれています。
Jamesville最後のカスタムプロジェクト
このカスタムのベースとなったのは、第二次世界大戦時に米軍が使用した1942年式Harley-Davidson WLAです。軍用バイクとして堅牢さを誇ったWLAを、James Roper-Caldbeckは彼独自の美学でボバースタイルへと生まれ変わらせました。 ボバーカスタムの基本に忠実に、フェンダーはフロント・リア共に大胆にカットされ、不要なパーツは徹底的に削ぎ落とされています。シートはソロシート化され、クラシックなスプリングサスペンションが採用されています。エンジンは空冷Vツインの745cc(45キュービックインチ)サイドバルブユニットで、当時のミリタリースペックを保ちながらも、外装パーツの選定とペイントワークによって洗練された雰囲気に仕上げられています。 タンクはオリジナルのWLAタンクを使用しつつ、マットブラックとゴールドのピンストライプという控えめながら品のあるカラーリングが施されています。ハンドルバーは低めのドラッグバー風にセットされ、ライディングポジションはよりアグレッシブな印象を与えます。
ビルダーが体現したクラフトマンシップ
Jamesvilleの作品群に共通するのは、過度な装飾を避け、機能美を追求する姿勢です。このWLA Bobberにもその哲学が貫かれています。2000年代後半から2010年代初頭にかけて、カスタムシーンでは過剰なクロームメッキやエアブラシアートが施されたチョッパーが人気を博していましたが、James Roper-Caldbeckはそうした流行とは一線を画し、クラシックなボバースタイルやカフェレーサースタイルに現代的な解釈を加えた作品を発表し続けました。 このプロジェクトがJamesvilleブランドの最後の作品となったことは、カスタムバイクファンにとって惜しまれる出来事でした。しかし、James Roper-Caldbeckは「華々しく去る(Going Out with a Bang)」という言葉通り、このWLA Bobberで有終の美を飾ったと言えるでしょう。 ミニマルなデザインでありながらディテールへのこだわりは随所に見られ、配線の取り回し、エキゾーストパイプの仕上げ、レザーシートの質感など、プロフェッショナルな仕事ぶりが光ります。軍用バイクという無骨なルーツを持ちながら、洗練されたストリートバイクへと昇華させる手腕は、まさにビルダーとしての成熟を示しています。
まとめ
Jamesvilleが最後に世に送り出したHarley-Davidson WLA Bobberは、ブランドの美学を象徴する作品となりました。1942年式という歴史あるミリタリーバイクを素材に、過剰な装飾を排したミニマルなボバースタイルで仕上げられたこのカスタムは、James Roper-Caldbeckのクラフトマンシップの到達点と言えます。Bike EXIFが草創期から注目し続けたJamesvilleブランドは、このWLA Bobberという傑作を残してその幕を閉じましたが、カスタムバイクシーンにおける彼の影響は今も色褪せることがありません。機能美を追求する姿勢と丁寧な作り込みは、現代のカスタムビルダーにとっても学ぶべき価値ある遺産となっています。