ムンバイを拠点とするGarage Built Motorcyclesは、ギャラリーのためではなく、純粋な情熱からバイクを作り続けるビルダーです。Kyle PereiraとSuraj Thapaによる最新作は、第二次世界大戦で活躍したTriumph 3HWを現代に蘇らせた渾身の一台となっています。
Garage Built Motorcyclesと戦時型Triumphの背景
Kyle Pereiraはインドのトップアートスクールで教育を受け、そこで視覚芸術とストーリーテリングの力を学びました。一方、パートナーのSuraj Thapaは生粋のメカニックです。二人の才能が融合したGarage Built Motorcyclesは、ムンバイのカスタムシーンで独自の地位を確立しています。 今回ベースとなったTriumph 3HWは、1940年代に英国陸軍向けに生産された軍用バイクです。350ccサイドバルブエンジンを搭載し、過酷な戦場での信頼性を重視した設計が特徴でした。このプロジェクトは、単なるレストアではなく、戦時の歴史を尊重しながらも現代の実用性を追求したカスタムとなっています。 オリジナルの3HWは質実剛健な軍用仕様でしたが、Garage Built Motorcyclesはその骨格を活かしつつ、細部にわたって丁寧な作り込みを施しました。フレームは完全にストリップダウンされ、構造的な補強と同時に不要な部分は削ぎ落とされています。エンジンは完全にオーバーホールされ、現代の道路環境でも安心して走行できる状態に仕上げられました。
戦時の機能美を現代に昇華させたカスタムの見どころ
このカスタムの最大の魅力は、ミリタリーバイクならではの無骨さを残しながら、洗練されたディテールを加えた点にあります。燃料タンクはオリジナルのラインを踏襲しつつ、手作業で丁寧に叩き出され、マットなミリタリーグリーンで仕上げられています。このカラーリングは第二次世界大戦当時の英国軍車両を彷彿とさせ、歴史的な文脈を強く感じさせます。 シートはブラウンレザーで製作され、長距離走行でも快適性を確保しつつ、ビンテージ感を演出しています。ハンドルバーはシンプルなフラットタイプを採用し、ライディングポジションは実用性を重視したアップライトなスタイルです。 照明系統は現代の安全基準に適合するよう更新されていますが、見た目は当時のスタイルを損なわないよう配慮されています。小型のヘッドライトとテールライトは、全体のミニマルな雰囲気を保ちながら必要十分な視認性を確保しています。 排気系統も一新され、サイドバルブエンジン特有の鼓動感を楽しめるよう、控えめながらも心地よいサウンドを奏でるマフラーが選ばれました。足回りはオリジナルのリジッドフレーム構造を維持しつつ、タイヤは現代のコンパウンドを持つクラシックパターンのものに交換され、安全性と外観の両立が図られています。
まとめ
Garage Built MotorcyclesによるTriumph 3HWカスタムは、歴史的な軍用バイクに敬意を払いながら、現代の道を走れる実用的なマシンに仕上げられた作品です。Kyle PereiraとSuraj Thapaの情熱と技術が結実したこのバイクは、単なるレストアやカスタムの枠を超え、戦時の英雄に新たな命を吹き込んでいます。ムンバイから発信される彼らの仕事は、カスタムバイクシーンにおいて、ストーリーと機能美を融合させる重要性を示す好例と言えるでしょう。