イタリアのカスタムシーンに新たな伝説が誕生しました。Damiano RoncaglioniとMirko Peruginiのコンビが、1932年製Harley-Davidsonシングルエンジンをベースに、ボードトラックスタイルのリジッドカスタム「Nike(ニケ)」を完成させ、Motor Bike Expo 2026で披露しました。勝利の女神の名を冠するこのマシンは、予測可能なVツインチョッパーが溢れる欧州カスタムシーンに一石を投じる存在となっています。
Gallery MotorcyclesとDamianoの完璧な分業体制
このビルドを理解する鍵は、二人のパートナーシップにあります。Damianoは単なる資金提供者ではなく、バイクのプロポーション、スタンス、テーマ、歴史的方向性まで自らデザインする設計者です。彼が描いた図面を、イタリアで溶接技術に定評のあるMirko PeruginiがGallery Motorcyclesの工房で鉄に変換します。ビジョンと実行という明確な分業体制でありながら、完成したマシンはまるで本能によって生み出されたかのような一体感を見せています。 二人は2025年に数々の賞を総なめにした「Lucifer」で既に実績を証明していました。そして2026年のMotor Bike Expoでは、誰も予想しなかった方向性を提示しました。それが本物の1932年製シングルエンジンを搭載したリジッドフレームのボードトラックスタイルマシンです。Gallery Motorcyclesのカスタムクールな実験室から生まれたこのマシンに「Nike(勝利の女神)」という名前が付けられたのは、決して偶然ではありません。
90年以上前のエンジンを現代に蘇らせる技術
1932年製のHarley-Davidsonシングルエンジンは、現代のVツインとは全く異なる個性を持つ歴史的パワーユニットです。このプロジェクトでは、単なるレストアではなく、ボードトラックレーシングの黄金期を彷彿とさせるスタイルへと再構築されています。リジッドフレーム(サスペンションレス)の採用は、当時のレーシングマシンへのオマージュであり、同時に現代のカスタムビルダーとしての技術的挑戦でもあります。 近年の欧州ショーシーンは、予測可能なVツインチョッパーやカタログパーツを組み合わせただけのカスタムで溢れていました。そこに風穴を開けたのが、純粋な才能と想像力だけを頼りに完璧を追求するこのパートナーシップです。誰のスタイルも追従せず、独自の道を切り開く姿勢が、Nikeというマシンに結実しています。 ボードトラックスタイルは1910〜1920年代のアメリカで人気を博したレーシングスタイルで、木製の急傾斜トラックを高速で駆け抜けるために最小限の装備と軽量化が追求されました。Nikeはその精神を現代に再解釈し、90年以上前のメカニズムと現代の工作技術を融合させた稀有な存在となっています。
まとめ
Gallery MotorcyclesのMirko PeruginiとDamiano Roncaglioniが手掛けた1932年式Harley-Davidson「Nike」は、ビジョンと技術が完璧に融合したカスタムバイクです。本物のヴィンテージシングルエンジンを使用したボードトラックスタイルのリジッドマシンは、カタログパーツに頼らない純粋な創造性の証明となっています。2025年の「Lucifer」に続く成功作として、Motor Bike Expo 2026で注目を集めたこのマシンは、勝利の女神の名にふさわしい存在感を放っています。欧州カスタムシーンに新たな基準を示す一台として、今後の展開からも目が離せません。