Ducatiの初期型Multistradaといえば、優れたV型2気筒エンジンと卓越したシャシーを持ちながらも、そのデザインには賛否が分かれるモデルでした。そんな「醜いアヒルの子」を、ラトビアの才能あるビルダーコンビが見事な「イタリアの血統美」へと昇華させています。シンセサイザーメーカーErica Synthsの創業者Girts Ozolinsと、ZEPS MotorcyclesのAndis Zepsが手がけたこのプロジェクトは、デザイン性と公道走行可能性を両立させた意欲作です。
詳細情報:プロジェクトの背景とビルダーの横顔
本プロジェクトの発起人であるGirts Ozolinsは、世界的に評価の高い電子楽器メーカーErica Synthsを率いる人物として知られていますが、同時に生涯を通じてバイクに情熱を注いできた熱烈な愛好家でもあります。興味深いことに、彼は自社の従業員に対してもバイクの免許取得を推奨するほどのこだわりを持っています。 そんなGirtsが信頼を寄せるパートナーが、ZEPS MotorcyclesのAndis Zepsです。Andisはプロポーションを見極める鋭い審美眼と、野心的なアイデアを形にする卓越した製作技術を兼ね備えたビルダーとして知られています。二人はラトビアを拠点に活動しており、創造性と職人技、そして「公道走行の合法性」への強いこだわりを軸にパートナーシップを築いてきました。 Girts自身も語るように、「ラトビアはバイクカスタムに関して世界でも最も厳格な規制を持つ国の一つであり、常に公道走行可能なバイクを作ることが私たちの課題だった」といいます。この制約の中で生み出された今回のMultistradaは、まさにその哲学の結晶といえるでしょう。
カスタムの見どころ・意義:長距離ツアラーから俊敏なワインディングマシンへ
今回手がけられたDucati Multistradaは、本来長距離アドベンチャーツーリングを想定して設計されたモデルです。しかし、GirtsとAndisの手によって、そのキャラクターは大きく転換されました。ワインディングロードを軽快に駆け抜ける、よりスポーティでアグレッシブな一台へと生まれ変わっています。 外観においても、オリジナルの賛否両論あったスタイリングから一転し、洗練されたプロポーションと引き締まったシルエットを獲得しています。単なる外装変更にとどまらず、車体全体のバランスを再構築することで、Ducati本来が持つ優れたV型2気筒エンジンとシャシー性能を最大限に引き出すことに成功しているのが特徴です。 さらに注目すべきは、これほど大胆な改造を施しながらも、厳格なラトビアの規制をクリアし、公道走行可能な状態を保っている点です。カスタムバイクの世界では、しばしば見た目の美しさと法規制への対応が相反する課題となりますが、このプロジェクトはその両立を見事に実現しています。ビルダーとしての技術力だけでなく、各国の法規制を熟知した上での設計力も求められる、高度なカスタムワークといえるでしょう。
まとめ
ラトビアのGirts OzolinsとAndis Zepsによる今回のDucati Multistradaカスタムは、もともとのデザイン上の弱点を克服し、優れたメカニズムを最大限に活かした成功例です。厳しい規制環境の中で公道走行可能性を維持しながら、スタイリングと走行性能を大胆に刷新したこのプロジェクトは、カスタムバイク制作における創造性と技術力の融合を示す好例といえます。Erica Synthsの創業者という異色の経歴を持つGirtsと、卓越した製作技術を持つAndisのコラボレーションは、今後も注目すべきカスタムシーンの一つとなるでしょう。