Yamaha初代Viragoに隠されていた本来のポテンシャルを引き出したのが、Pit Lane Motoによる「CR82」です。イギリスで1年以上かけて探し出した1982年式XV920をベースに、旧車の味わいと現代的な機能性を両立させたカフェレーサーへと仕上げています。フレームとエンジンケースを残しつつ、その他はほぼ全てが新造・刷新されました。
Yamaha XV920という素材の魅力
1980年代初頭に登場したYamaha XVシリーズは、空冷Vツインエンジンを日本製クルーザーらしい外観にまとめた一台でした。しかし見た目とは対照的に、モノショック式のシャシー、応力部材として機能するエンジン、そしてシャフトドライブという、当時としては非常に先進的なメカニズムを内包していたのです。この意外性の高いスペックが、40年の時を経て多くのカフェレーサービルダーの心を掴んできました。 とはいえ、イギリス国内で状態の良いドナー車両を見つけるのは容易ではありません。Pit Lane Motoの創設者であるEmmanuelとSatyamは、理想の一台を求めて1年以上にわたり探索を続け、ついにノリッジで10年以上眠っていた不動の1982年式XV920に出会いました。長期不動車という条件は、逆に大規模なフルカスタムを行うには最適な素材だったといえます。
CR82が示すカスタムの見どころ
今回のプロジェクトにおける two 人のブリーフは非常にシンプルでした。「旧車としての個性を保ちながら、現代のバイクのように機能するマシンを作る」というものです。この方針のもと誕生した「CR82」は、Yamahaの工場から出荷された当時の姿をほとんど残していません。残されているのは基本フレームとエンジンケースのみで、それ以外はすべて再構築・アップデートされています。 この大胆な改修は、決して否定的に捉えるべきものではありません。過去40年間でオートバイの技術は大きく進化しており、Pit Lane Motoの両氏はその進化の中から各時代のベストな技術・パーツを選び抜き、絶妙に組み合わせています。旧車らしい佇まいを保持しながら、走行性能や信頼性については現代基準に引き上げるというアプローチは、単なる見た目重視のカフェレーサーカスタムとは一線を画すものです。フレームとエンジンケースという最小限の要素からスタートし、そこにビルダー自身の設計思想を注ぎ込んでいくスタイルは、まさにカスタムビルダーとしての技術力とセンスが問われる作業だったといえるでしょう。
まとめ
Pit Lane Motoによる「Yamaha XV920 CR82」は、長年不動だった旧車を掘り出し、フレームとエンジンケースのみを残して全面的に再構築したカフェレーサーカスタムです。1980年代Viragoが持っていたモノショックシャシーやシャフトドライブといった隠れた高性能ポテンシャルを引き出しつつ、現代的な機能性を融合させた点が最大の見どころです。単なる復元ではなく、時代を超えたベストパーツの融合という、ビルダーの哲学が詰まった一台に仕上がっています。