SR400/SR500というオートバイについて考えるとき、いくつものパーツメーカー、カスタムショップによるコンプリート車両がユーザーの嗜好性や「SR文化」に与えた影響を無視することはできません。様々なカスタムスタイルに合わせ変化(へんげ)する懐の深さを持っていたヤマハSRですが、やはりメインストリームは「英国カフェレーサースタイル」モディファイと言えるでしょう。このエントリでは、「英国カフェレーサー」の代表格BSAと大手パートメーカーデイトナの企画に端を発した、ちょっと珍しいオートバイ、BSA-SRについてご紹介したいと思います。
BSA-SRとは
- 大手パーツメーカーデイトナと、当時BSAブランドを管理していた英国BSARegal社が企画・共同開発したカフェレーサースタイルのオートバイ。
- BSARegal社製造のサイズダウンしたのフェザーベッド(ダブルクレードル)フレームに、デイトナが持ち込んだヤマハSR400のエンジンをできるだけ直立させた状態でマウントしてあるのが最大の特徴。
- 1997年~2003年までの6年間販売され、その販売台数については諸説あるが、200台~500台程度、というのが通説である(年間生産台数は200台が限界であった)。
- 当時販売が伸び悩んだ原因として、新車価格が「本家」ヤマハSR400の倍以上と高額であったことがよく挙げられる。
BSA-SRのコンセプト
デイトナが意図したカフェレーサースタイル
BSA-SRはデイトナ社にとっても存在感の大きなプロジェクトであったようで、デイトナの設立50周年の特設サイト「DAYTONA 50th ANNIVERSARY 」の1997年のトピックとしても取り上げられています。
「ベーシックで質感のあるバイク」を求めて、BSA-SRをイギリスのBSAリーガル社と共同企画、生産。BSAが新車で乗れる。トラディショナルなバイクファンに好評を博した。
と掲載されているとおり、基本的な部品構成はヤマハSR純正のものを流用しつつ、カフェレーサーカスタムの根幹となる専用部品はイギリスでハンドメイドされたものを奢り、非常に趣味性の高いオートバイとなっています。
Métisカフェレーサーを意識したのかな?
カフェレーサーカルチャーでの定番チューンナップ手法として、ノートンのフェザーベッドフレームなど高性能な車体に他車種の戦闘力の高いエンジンをスワッピングする、というものがあります。これはメーカーをミックスした存在であることから「Métis(混血女性という意味)」と呼ばれていました。また、そのバイクもNortonにTriumphのエンジンを載せたものをTriton(トライトン)、BSAのエンジンを載せたものをNorBSA(ノービザ)、Vincentのエンジンを載せてNorVin(ノービン)といった具合で呼ばれています。BSA-SRの企画コンセプトも、BSA(Regal)製のフレームにSRのエンジンを積む、といった当時のカスタムレーサーの手法に倣ったのではないかな?と想像しています。
BSA-SR主要諸元
通称名 | BSA SR |
車名・型式 | BSA・SR |
全長 | 2100㎜ |
全巾 | 730㎜ |
全高 | 1110㎜ |
車軸距離 | 1410㎜ |
最低地上高 | 140㎜ |
車両重量 | 150kg |
前輪分布/後輪分布 | 70kg/80kg |
車両総重量 | 215kg |
前輪分布/後輪分布 | 95kg/120kg |
乗車定員 | 2名 |
BSA-SRの3つのスタイル
BSA Gold SR400
BSA Goldstarをリスペクトしたモデル、BSA gold SR400。
BSAガスタンクに、BSAエキパイ&BSAサイレンサー、ダブルシートを装備。
BSA Clubman SR400
Norton MANXをリスペクトしたモデル、BSA clubman SR400。
NORTONガスタンクに、BSAエキパイ&メガホンマフラー、ダブルシートを装備。
メガホンマフラーはBSAサイレンサーより抜けがよく、最高出力が高い(のだそうです)。
BSA G40 SR400
Matchless G50をリスペクトしたモデル、BSA G40 SR400。
AJSガスタンクに、AJSエキパイ&メガホンマフラー、シングルシートを装備。
BSA‐SRの情報を発信しています
もう販売終了から20年が経とうとしているBSA-SRですが、徐々に当時の資料は散逸し、フルノーマルコンディションの車体も減ってきているのではないかと思っています。
できり限り、当時のマニュアルや出版物などを資料として情報をアーカイブしておきたいと考えています。
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